降り立ってみると打ち上げゴミの数は少なく、前回来たときよりもやけにシボリとコモン、ホシキヌタの姿が目立つ(擦れだが)。結局収穫らしいのは擦れ擦れのサバ1個。岩陰や貝のかたまっているあたりにかき回した後があり、先客ありか、とあまり気合いが乗らずに探索を打ち切る。
潮も満ち始めたので、岩場を越えて南に向かう。こんな日でもしぶとくバーベキューの煙を上げる家族連れの脇を通り抜け、パイプ浜へ。ここは満ちると浜がなくなるので急がねばならない。メインの下り口は大きなススキの株でふさがれており、下りた地点ももう波が洗っていたので裏ルートから突入する。大雨の後だけあってさすがに崖もかなり滑りやすい。?点支持や滑り降りの秘技を駆使しつつ、手足泥まみれで浜に降り立つ。やれやれ。
以前大風後に来たときはカジメで埋め尽くされたこの浜だったが、今回はちょびちょび程度。潮も上げて来ており、急いで探索を開始する。と、すぐに今年おなじみのクチムラサキ若成貝、アヤメを見付ける。納得しつつさらに見ていくと、妙な破片が…?殻頂の部分だけだが、十分老成したヤクシマ。しかもかなり大物と見た。多分昨秋〜冬のものであろう。それなりに低温に耐えられそうでもあるし、南紀並の生成貝に出会える日も近いなあ、と妄想する。やや強欲モードに入り、そのあたりをかき回し、シボリやコモン、サメを冷やかしていたが、ふと見た目の前の崖の根元に目が吸い寄せられる。えっ‥‥‥?
反射的に手が伸びて拾い上げる。
おお!!!!!!
イボダカラ!!(しかも大きい!)
…南海のX島ではボロばかりだったのに…状態もなかなか。北限のこの地で…??????????
いるんだなあ…。11号の置き土産がどうか定かではないが、望外のレア品ゲットに浮かれる私。
ここで完全に強欲モードが発動、波が迫る中、さらに探索を続けクロ2個・ドワーフシボリ1個を追加する。さすがに日も傾き波も迫って来たため、撤収を決めふと崖上を見上げると、若い男が上から何事かとこちらを見下ろしている。早くどけよと心の中で叫んだが、動く気配がないので波を突っ切り岩陰へまわりこみ、男の視線から隠れたところで一気に表ルートから登って撤収する。やれやれ。
…その後スピルラ浜に向かったが、なぜかいつもゴミだらけの浜が洗われたようにきれいで、スピルラもルリガイも影も形もなし。不審そうにこちらを見ている熟年男に、おまえこそこんなところで何しているんだよ的視線を浴びせつつ撤収。
あまり期待せずに始めた今回の採集行であったが、パイプ浜久々のヒットに恵まれ、うまいビールを飲むことが出来た。次は9月、南方系の貝もそろそろ成熟してくるころ…か???イボの生なんか見付けたら最高なんだが…。