これまた恒例になっている最初にのぞく岩陰に向かう途中、浅場の岩に生えていたイソバナに目をやるとツグチ発見。
おお!大ぶりで老成した個体。よしよし。
その近くでペアも。産卵間近かと思いこちらはスルー。今年は良い感じかも知れない。
昨年白濁地獄だった場所も今回は穏やか、魚も静かに泳いでいる。
そして例の岩陰へ到着、2つ発見。よしよし…。
しかし、どうやらかなり人が入るこの場所、多分サザエやトコブシを狙ってか、やたらに転石が返されたままになっており、何のつもりかイソバナも幾つか根元からもがれて底に転がっている。全くもう…。
見知らぬ不届き者への怒りを覚えつつ前進。ここしばらく踏み込んでいなかった沖向きの外エリアへ。さすがに潮の流れがかなりあり、体が流されがち。ポツポツとツグチが見付かる。成熟個体だけでなく、若貝や幼貝もたくさん確認できた。間違いなく今年は順調のようだ。
あまり採集してもしょうがないので、黄色個体をゲットしたのち、あとはスルーすることにした。いつもかなり波の激しく、いままでいったことの無かった場所も偵察する。ツグチ数個体確認。
干潮時間を過ぎ、明らかに潮があがりはじめたので岸寄りに戻って探索続行。できれば何か違うウサギがあらわれてくれると…。
強欲な期待を抱きつつ、岩と岩の間をのぞき込むと、そこはかとなく良い感じの場所を発見。イソバナの適度な付き具合、何かちょっと傷んだ感じの大きめのトゲトサカ…空き地の真ん中になぜか隠れる気もないガンガゼが1つ。
ピンセットでそっとガンガゼ君に御退去願い、手前のイソバナから丁寧に見ていく…が、いない。大きめのトゲトサカ…食痕臭い傷み方だったが…何もなし。ふーむ…。
いい感じなのになあ…と思いつつ最後に奥についている赤イソバナへ手を伸ばす。ややしなびた感じで、ゴミもモシャモシャと絡んで塊になっている。何の気なしに裏返すと絡んだ中に埋もれるように小さなツグチの腹側の一部がちらりと見える。小さいなあ…と元に返そうとした瞬間、殻口からわずかにはみ出した外套膜に引っかかる。
「違う??これは…?」
色めき立ちつつ、そっと指でかき分ける。着いている枝をそっと裏返すと、ツグチとは明らかに異なる前後が突き出し、オレンジ色に染まる姿。間違いない。
「ツマニケボリ!!!」
…このHPを開設する前年に一度だけ見付けて以来、この地では6年ぶりの再会。ホストの違いのためか、トサカにつく南紀産の個体とは異なり、小さくて背の赤色が目立つ感じ。よしよし!
…ということで強欲モード発動。結構ここにしては長時間探索になっていてお疲れ気味だったが、再び気合いが入って探索続行。潮が流れはじめる中、さらに岸寄りでもツグチはポツポツあらわれる。また、黄色のイソバナにチヂワケボリ?の幼貝らしき姿も確認した。お宝関係ではここではお馴染み、隠れる気のない大型のホシキヌタを一つ発見。
正午を回り、大分潮が上げはじめたところで撤収を決定。ツグチがここ数年でもっとも多く確認できたことや、ツマニケボリとの久々の再会も果たすことができ、足取りも軽く駐車場への階段を上る私でありました。