D浜に到着すると、サーファーらしき人の姿がちらほら。しゅりさん曰く「タヒチみたいに転石のないところだよ〜」だそうだが、潮が満ちている状態ではよくわからぬ。ただエッジまでの距離は短めで、X兄の話通り、クレバスが入り込んでいる様子はうかがえた。打ち上げを見たりしばらく時間をつぶし、目がなさそうなら他の場所へ転戦しようと心に決めて浜をうろつく。砂浜にはろくな打ち上げがなかったので、岩場へ。
砕けた貝が多い中、ハナマルが目立つ。幼貝の殻もちらほら。そしてマメシボリやヒメホシ、サバ・ニセサバのガスも。ざっと見ただけなのだが、意外にバラエティに富んだ打ち上げが見つかる。ふーむ。
(多分X兄はこのころ駐車場に到着されていたらしい。思いの外早く着いてしまったためのすれ違いであった)
…しばらくめぼしいところを探索し終えた私は、大きな岩の下の貝だまりに目をつけた。
「ここを探したら、他へ転戦しよう」と思いつつ、手で積もった貝を軽くどけた瞬間であった。
半分に割れた丸い殻に目が釘付けに。
おお!!これは…!
…思わず声が出た。
しかも、でかい…。完全であったなら…惜しい。
…とはいえ、お初拾い。
フイリチドリダカラ!!
しかし、かなりの大きさ。このまま捨て置くわけには行かぬ。半割れではあるが、強欲モード発動!
本格的に探索すべく、車にとって返し、杓文字や手袋を手に再び貝だまりに向かう。念のため、転石を返して細かく探索続行。が、ツマムラサキメのFDを一つ見つけた他は、あとが続かず。後学のためにいくつか目についた貝を袋に収める。
時間は10時近く。沖目に目をやると大分潮が引いて礁原が露出しはじめている。ここまでくればエッジ近くも気になるし、しゅりさん曰く、「ハチジョウなら100%」という言葉も確かめておきたい。
…ということで潮が急速に引いていく礁原を探索開始。確かに転石はほとんどない。それでもクレバス近くまで進むと、岩の割れ目に死珊瑚が折り重なっている場所も。のぞき込むとハナマルがちらちら見える。結構な生息密度。違うお宝はないかと鵜の目鷹の目で見回ったが、これは不発。
隠れる気のないキイロを冷やかしつつ、手前に戻る。今度は礁原に点在する大きな岩の下をねらう。天気は快晴、日差しが結構きつい感じになってくる。
後学のため目についたヤドカリ入りの貝を拾いつつ、探索続行。程なく、岩陰奥に悠然と鎮座する大きな姿を発見。やはりここか。
ハチジョウダカラ!
…確認できたことに満足し、戻りながらこの先を考える。時刻は11時近く。昼を購入してどこか気になる場所をもう少し探索してみよう。
車を出し、とりあえず南下。右に広がる海岸線には何をねらってかあちこちに人の姿が見られる。
先ほどのような潮のきつそうなポイントに気を引かれていた私は、岬の先端部分にあたるPポイントに目をつけてナビをセットし、
岬についたのは1時過ぎ。右は外海の潮が直接ぶつかりかなり荒々しく、左は内海で波静かな感じ。かなりの人が礁原に散らばり、手前の大きな潮だまりにはシュノーケリングを楽しむ家族連れも。
おにぎりをそそくさと食したのち出動。もう干潮は過ぎているはずで、エッジ付近を見るなら急がねばならない。右の外海側へ直行。
先ほどの岬同様、エッジ近くには転石はほとんどない。ウニ穴におびただしいハナマルが潜んでいるのが見て取れる。ハナマルに同居してなにか違うお宝がいないか、少し丁寧に探索していく。ピカピカの大型カモンFDとヒメホシ生1を続けてゲット。
さらに先を見やると、大きな岩がエッジ近くに点在している。何やらお宝の匂いを感じて急行。のぞき込んだ先に見えた姿は…キッコウにあらずヤクシマ(残念)。
…と、ここで潮が急速に上がりはじめ、探索が困難になり始めてきたので浜へ戻る。いつの間にか人の姿もほとんどなくなっており、外海から内海側へ川のような流れが…。戻りつつ、気を引かれた貝だまりを覗き、ヤナギシボリやアミメ、サバを確認、海中探索も面白かろうと思ったポイントであった。その後、潮はいよいよ急速に上昇、最後は川のような流れの中を泳いで駐車場までたどり着いた。
着替えを終えるともう5時近く。車を返す時間も迫ってきたので一目散に南下。途中IC入り口でのチケット受け取り渋滞に遭遇した他は(カード会社の陰謀を疑い、私はETCカードを持っていないので)、予定通り車を返し、それほど格別ではない沖縄そばをかき込んで、夜便で脱出したのであった。
急に思い立ったため、2泊3日と短い修行旅であったが、花粉症から解放され、楽しい出会いもあり、沖縄夜貝にも参加でき、再訪が楽しみなリサーチ旅となった。お世話いただいたしゅりさん・X兄さん、本当にありがとうございました。
(おわり)