夏修行以後、チャンスを狙っていたのだが仕事や体調、天候や海況がかみ合わず、はや10月。いい加減何とかしたいと思い、所用を昼前に早々に切り上げて海へ。さすがにあらかためぼしい所はさらわれているだろうが、9月のナルト2発の大波の打ち上げが残っていれば、という思いを秘めての出撃である。天気は上々、海に入る用意をしておけばよかったかな、と思わせる陽気。干潮は13時前後、1時間ほど前に駐車場へ滑り込む。今年1月以来、9ヶ月ぶり。
昼飯のサンドイッチを頬張りながらP浜を見下ろす。表の下り口は近くのベンチで家族連れが憩っているため、教育上よろしくないので遠慮し、裏ルートから一気に突入する。一時崖崩れが頻発し、岩礫で貝溜まりが埋没する事が多かったが、ここしばらくは落ち着いたのか、そこそこの貝溜まりが復活している。
今までもっともおいしい思いをしたエリアから探索開始。本日は愛用の杓文字を忘れたので、シャベルとドライバーを振るって掘り進む。が、特に収穫なし。大ぶりのメダカラが目だった程度。とりあえず一旦放置し、斜面の際を見て回る。クチムラサキのやや若い成貝を一つ発掘。
期待の場所がもう一つだったので、浜のもっとも奥のエリアへと踏み込んで見る。ここしばらく、崖の崩壊がひどくてなかなか近づけなかった場所。
と、すぐに足下に黒々とした細長い姿。見た瞬間それとわかった。
…ヤクシマ亜成貝!
南紀ではゴロゴロあるが、当地では幼貝で落ちてしまう事がほとんどで、なかなか歯が形成されるまでには至らない貝。先立ってのナルトの余録であろうか。とりあえず来た甲斐はあった。
…強欲モード発動。周囲をしらみつぶしに見る。あまり擦れていないクロ・擦れ過ぎて何が何だかわからないほどのアヤメを追加。
時間は13時半過ぎ。そろそろ干潮を過ぎ、これから満ち始めといった気配。手前側との境の岩に波が被り始めている。打ち寄せる合間を狙い、軽やかに飛び越えて手前の貝溜まりへ。
(とはいえ、体はイメージ通り飛ばず、海水を飛び散らかせてズボンの裾を濡らす結果に…うーむ)
頭上から時折聞こえる観光客の声を聞きつつ、完全死角の直下崖下で密かに探索開始。いかにも良さそうな貝溜まりであるが、案外という結果が多い場所でもある。案の定、しばらくは沈黙が続く。ある程度探ってから見る角度を変えてもう一度かき分けて見る。視線を変えると意外に見落としていた貝に気づくことも多いためである。