| ひとこと |
地中海産の中型白玉。楕円形の殻に背は肉色がかったベージュ色、肋は浅いがはっきり刻まれ、背の中央に浅く幅広い溝が伸びる。また軸芯前部がスプーン状になる。problematicaに似るが、内唇側後部や軸心部の形状が異なる。この種はN.pulex(Gray,1828)と呼ばれていたが、この仲間の分類研究(Fehse, 2008)に従って当HPも記述や画像を変更し、近年の発表(2020)により属が変わったためにこちらに変更した。なお、Niveria属の分類整理の研究(Fehse&Grego,2008)により、地中海中〜西部の北岸に広く分布する種をspongecola、地中海東部〜北アフリカに産する種がafricana(Schilder,1931)とされたが、もともとspongecola(Monterosato,1923)は当初チュニジア・ガベス湾の固有種として彼らが学名を採用したいきさつがある。また他の研究者やディーラーでも、「広く分布するspongecola」をN.mediterraniana(Risso,1826)とする意見があり、現在もそれを使用している状況も見られる。今回、MonterosatoのあげたLectotype標本と類似している貝を入手したので、当HPではこれをspongecolaとし、以前あげていたものをmediterranianaとして変更した。余談だが、MonterosatoのあげたParatype標本は素人目に見ても数種あると思われ、私が不明種としてあげているSp1,2らしき貝も入っている。ここに挙げた貝はチュニジア東部のガベス湾に産すると思われるが分布の詳細は不明で、浅海底に生息するようである。
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